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県芸術文化センター「グラントワ」(益田市)は、開館から20周年を迎えました。地域に支えられて歩んだ20年を振り返るとともに、周年を記念した主催事業をご紹介します。
今年はぜひグラントワで芸術体験を楽しんでみませんか?

 

大人になったグラントワ
芸術に触れる機会をつないでいく

 

―開館から20年を迎えました。これまでの歩みを振り返っていかがですか?
月並みな言葉ですが、あっという間でした。石見地方に美術館を建設しようという計画が持ち上がった30年ほど前から関わってきましたが、当時東京芸術大学の学部長だった吉賀町出身の彫刻家、故・澄川喜一先生に話をしにいくと、「大丈夫?」と、人口の少ない石見に美術館を造ることに心配そうな反応でした。しかし、その後県や住民の熱意が伝わり、初代センター長を引き受けてくださいました。開館後も澄川先生のネットワークに力添えをいただくこともあり、開館当初の盛り上がりを支えてくださいました。それから20年、当時生まれた子どもたちは成人するほどの年月が経ち、グラントワもまた大人になりました。澄川先生もやっと独り立ちしたかと見守ってくれていると思います。

的野 克之まとの かつゆきセンター長

 

―グラントワは美術館と劇場の複合施設ですが、その魅力は?
美術館も劇場もそれぞれ規模が大きく、どちらも本格的な事業が開催可能です。また、美術館の企画展に合わせて、劇場でコンサートなどを行うこともでき、連動させた企画による相乗効果が期待できます。施設一体での芸術体験が大きな魅力になっています。

 

―20周年を記念した事業を多数企画されています。
今年度は、すべての主催事業を開館20周年記念事業と位置付けています。劇場では、著名なアーティストたちの公演や、「しまね伝統芸能祭」などめじろ押しです。美術館では、夏季企画展として安来市出身の現代アーティスト「加藤泉 何者かへの道」、秋季企画展として吉賀町出身の世界的ファッションデザイナー、故・森英恵さんの生誕100年を記念した展覧会も開催予定です。その他にも10月の感謝祭や11月中旬からのイルミネーションなど、地域の方々にも楽しんでいただけるイベントを随時開催します。

―今後はどのような施設を目指していきますか?
20年が経ち、街の景色の一つになりました。部活動の発表・コンサートや学校行事などでグラントワに来たことがあるという児童生徒は多く、身近な存在になってきていますが、もっと子どもたちに訪れてほしいと願っています。特に親子で劇場や美術館に来館して、一緒に芸術を体験していただきたいです。美術品も音楽も、実際に体感すると違いが分かるはずです。そして親子で感想を語り合っていただきたい。その実体験から自分が親になったときに子どもをグラントワに連れて行くようになるのではないでしょうか。そうした芸術体験の連鎖をつないでいければ良いと思っています。



企画展SCHEDULE

  • 加藤泉 何者かへの道
    IZUMI KATO :
    ROAD TO SOMEBODY

    2025年7月5日-2025年9月1日

    加藤泉《無題》2024年
    ©Izumi Kato 2024
    撮影:岡野圭


  • 生誕100年 森英恵
    ヴァイタル・タイプ

    2025年9月20日- 2025年12月1日

    森英恵《イヴニングアンサンブル》 1977年秋冬、
    HANAE MORI HAUTE COUTURE


  • 美術館がうまれて、それから
    ―コレクションと石見美術館の20年―

    2025年12月20日-2026年2月23日

    岡田三郎助《黒き帯》1915年
    島根県立石見美術館蔵

美術館は高校生以下、観覧料無料

問い合わせ/芸術文化センター TEL 0856-31-1860