連載企画

しまねで暮らす
笑顔があふれる人を紹介します。

しまねびと

施設の認知度アップへ奮闘

津和野町の山あいを走っていると、和洋折衷の特徴的な建築様式の建物が目を引きます。国名勝・旧堀氏庭園の一部で、明治中期に設立された私立病院を復元した施設「医食の学び舎 旧畑迫病院(いしょくのまなびや きゅうはたがさこびょういん)」。施設で働く桑原優子さんは、多くの人に魅力を伝えようと試行錯誤を続けています。

神奈川県出身の桑原さんは、津和野町出身の夫との結婚を機に町に移住。当初は虫や雪の多さに驚き、抑揚の少ない方言に苦労しましたが、都会では体験できない暮らしに次第に引かれていきました。
旧堀氏庭園での勤務を経て、令和元年10月から旧畑迫病院の運営を担っています。これまでにナース服の変遷をたどる展示の企画、全長約40メートルの板張り廊下を競技場にした「ぞうきんがけレース」の開催など、子どもからお年寄りまで楽しめるイベントを手掛けて施設の認知度向上に力を注いでいます。
歴史的な施設で勤務するにあたっては地域のお年寄りから昔の話を聞くなど、日々勉強です。「勤めて4年ですがまだまだ知らないことだらけ。でもそれが楽しい」と笑います。
桑原さんの努力が徐々に実を結び、「『あそこで何か面白いことをやっているな』と認知され出していますが、まだまだ来館者が少ない日も多い」と話し「いずれは施設に行列ができるくらいの人を呼びたいし、もっともっと多くの人に価値を知ってもらいたい」と意気込んでいます。

独自のイベントを定期開催!

施設のレトロな雰囲気を生かした独自の企画で来館者を楽しませています。
長い板張り廊下を競技場として活用し、令和3年から開催する「ぞうきんがけレース」。「日頃静かな施設に子どもたちの声が響けば楽しい」との桑原さんの構想どおり、津和野町内の子どもたちが集う夏の恒例イベントとなりました。
令和5年3月開催の「ハイカラさん なりきり体験」では、参加者が色鮮やかな着物やはかまを着て施設内を歩き、展示物をバックに撮影しました。
今後も旧畑迫病院ならではの個性豊かなイベントを企画していきます。

※「ぞうきんがけレース」は令和6年8月開催予定。
  「ハイカラさん なりきり体験」は令和6年3月22日~4月7日の金・土・日曜日に開催されます。

ぞうきんがけレースに参加する子ども

はかまを着て笑顔を見せる親子

津和野町教育委員会集落支援員
桑原 優子くわばら ゆうこさん

スタッフとして10年ほど勤めた職場で知り合った夫との結婚を機に平成24年11月に津和野町に移住。平成29年6月から旧堀氏庭園、その後は旧畑迫病院で運営業務に奔走。家庭では二児の母としても奮闘中。