特集記事
電子メディアとの上手な付き合い方と
家庭学習の充実に向けて
家庭学習の充実に向けて
電子メディアの普及により、スマートフォン等の電子メディア機器は、生活の必需品となり、子どもたちの生活の中にも浸透しつつあります。小・中・高等学校において、児童生徒向けの一人一台端末環境が整備され、授業をはじめとしてICT活用が進む一方、家庭ではスマホやゲームなどの電子メディアの利用時間が増加し、子どもの生活習慣の乱れや学習、健康への影響が心配されています。
電子メディア機器とは: スマートフォン、携帯電話、パソコン、タブレット、ゲーム機など
電子メディア利用時間の増加と家庭学習時間の減少
文部科学省が毎年度実施している全国学力・学習状況調査によると「平日2時間以上スマホなどでSNSや動画視聴をしたりする」と答えた児童生徒は3割以上という結果が出ている一方、「学校の授業時間以外に平日、1日当たり1時間以上勉強する」と答えた児童生徒は年々減少傾向にあります。
多くの家庭では、電子メディアの利用について、視聴時間の制限などのルールを設けていますが、その適切な接し方や家庭学習について、学校と家庭が連携し、同じ目線で声がけができる環境をつくっていくことが大切です。
多くの家庭では、電子メディアの利用について、視聴時間の制限などのルールを設けていますが、その適切な接し方や家庭学習について、学校と家庭が連携し、同じ目線で声がけができる環境をつくっていくことが大切です。
1日にスマホなどでSNSや動画視聴をする時間(R6)
■4時間以上
■3時間以上、4時間より少ない
■2時間以上、3時間より少ない
■1時間以上、2時間より少ない
■3時間以上、4時間より少ない
■2時間以上、3時間より少ない
■1時間以上、2時間より少ない
■30分以上、1時間より少ない
■30分より少ない
■携帯電話やスマートフォンを持っていない
■無回答
■30分より少ない
■携帯電話やスマートフォンを持っていない
■無回答
1日あたり1時間以上勉強する小学6年生と中学3年生の割合の推移(塾などの時間も含む)
小学6年生 | 中学3年生 | |||
全国 | 島根県 | 全国 | 島根県 | |
R4 | 59.4 | 60.2 | 69.5 | 57.1 |
R5 | 57.1 | 53.9 | 65.8 | 52.2 |
R6 | 54.6 | 51.7 | 64.3 | 51.0 |
主体的な学びと家庭学習
「人は学ぶことで、自分を成長させ、自分の可能性を拡げ、社会や人生をより豊かで幸せなものにする」と言われます。
学習内容の定着や学習の習慣化など、家庭学習の意義について、学校・家庭・地域が一緒に考えることで、子どもたちの学ぶ意欲を高めることができます。
学習内容の定着や学習の習慣化など、家庭学習の意義について、学校・家庭・地域が一緒に考えることで、子どもたちの学ぶ意欲を高めることができます。
小中学校での家庭学習の充実に向けた取組の例
取組の例
大田市
市内の一部の学校で実施した家庭学習力アンケートの活用を通して、子どもたちの強みと弱みを見える化し、家庭学習にいかしています。自分に合った学習方法を模索し、学習意欲を高めます。
西ノ島町
「助かる自習室」を公民館で開催しています。地域の大人や高校生に学習を教えてもらったり、友達と一緒に考えたり、一人で集中したりと自分に合った学び方で主体的に学習に取り組んでいます。
浜田市
小中連携教育で「家庭での学習等のタイムマネジメント」を重点に掲げ、各中学校区で取り組んでいます。
連絡帳を活用した計画的な家庭学習、めあて・振り返りを含む自己調整学習など、特色ある取組が行われています。
連絡帳を活用した計画的な家庭学習、めあて・振り返りを含む自己調整学習など、特色ある取組が行われています。
問い合わせ先/島根県教育指導課 TEL 0852-22-6867
子どもの電子メディア接触時間の長時間化による健康被害が問題視される中、私たちはどのように向き合っていくべきでしょうか。専門家に聞きました。
熱中できること見つけて
島根の子どもとメディア研究会
伊藤 紀子 会長
島根の子どもとメディア研究会
伊藤 紀子 会長
Q1
長時間利用することでどのような健康被害がありますか?
A1
心身の発達に影響が出ます。身体を使うことが減って運動器不全になり、長時間みることで視力低下、斜視の増加につながります。
脳の五感領域は5歳までに成長するとされ、この時期にスマホやタブレットに触れることは、脳や言葉の発達に影響がある反面、リアルな体験が多いほど脳が発達します。
脳の五感領域は5歳までに成長するとされ、この時期にスマホやタブレットに触れることは、脳や言葉の発達に影響がある反面、リアルな体験が多いほど脳が発達します。
Q2
健康被害を防ぐためにどのような対策がありますか?
A2
大事なのは睡眠。質のよい睡眠が学力を伸ばします。スマホ等の長時間利用のため学力低下のデータも発表されています。スマホ等の利用は、せめて就寝30分前にはやめて別室に置きましょう。スマホやゲーム以外に熱中できるものを見つけることが大切です。
Q3
例えばどんなことでしょうか?
A3
ゲームも好きだけど家族で話したり、一緒に料理したりといった好きなことをたくさん見つけることが大事です。SNS依存だった中学生が夕食後に親子で散歩するようになって治った事例があります。身体を動かしたり、コミュニケーションをとることが大切です。
上手な使い方を学ぼう
ぽよぽよクリニック
田草 雄一 院長
ぽよぽよクリニック
田草 雄一 院長
Q1
子どものインターネット利用の状況はどうでしょうか?
A1
こども家庭庁の調査によると、令和5年は小中高生の86%がスマホでインターネットを利用しています。令和4年の平均利用時間は小学生3.6時間、中学生4.6時間、高校生5.8時間で、直近5年間で見ると全ての年代で増えています。全年代で長時間化している一方、利用目的は学習ではなく娯楽目的であることが特徴です。
Q2
利用時間が増えると学力にどのような影響がありますか?
A2
研究者の調査では、平日のスマホの利用時間が増えるほど、家庭での勉強時間に関わらず、テストの平均点が低くなる傾向がありました。
Q3
スマホを上手に使うにはどうすればいいでしょうか?
A3
長時間利用を減らすためには専用アプリを使って使用時間を把握する、1日のスケジュールを決めて行動することが大事です。また、枕元にスマホを置かない、食事中や勉強中は別の部屋に置いておくなど、ルールを決めることも有効です。
上手な使い方を学ぶことが必要になります。
上手な使い方を学ぶことが必要になります。
専門家・専門医による指導事業
県では、インターネット等の利用時間増加による影響について科学的な根拠をもとに伝え、具体的な行動に結びつく対応策を提示できる専門家を学校等に派遣する事業を行っています。
問い合わせ先/島根県保健体育課 TEL 0852-22-5423